立場上の人権問題

それぞれの立場から見る人権問題

人は生まれながらについて人権を有し、誰もが平等に生きる権利を持っているわけですが、しかし全ての人々が本当に平等かというと決してそうではありません。
それぞれの立場によって全く違うものと言えるでしょう。
障害者や高齢者、日本固有の問題と言われる同和問題等、様々な問題を抱えています。
こちらの頁では、それぞれの立場上の人権問題を、個別にまとめてみたいと思います。

障害者の人権問題

障害者の人権問題は非常にデリケートな問題ですが、逆に意識をせず、健常者と同等に接する事が重要です。
変に気を遣ったり、特別扱いをすると、本人も戸惑うばかりか周りの人も不快にしてしまう可能性があるので注意が必要です。
だからといって、気を使わなければいけない部分はちゃんとフォローしなければいけません。
電車内で足の不自由な人が立っているのを見かけたら、席を譲るのは当たり前の事です。
目の不自由な人が道端で困っている様子が窺えたら、手を引いてあげるのも当然の話です。
重要なのは、今現在は特に困った状態ではない時(要するに通常時)は、健常者と同じように自然に接してあげることなのです。
これを、「普通に同じ社会を共に生きる」の意で、「ノーマライゼーション」といいます。
一人でも多くの人々が、ノーマライゼーションの精神を理解し、実行できる世の中であってこそ、障害を持った人々が幸せに暮らせる社会造りが実現できるのです。

外国人の人権問題

外国人の人権問題は、様々なシチュエーションで差別を受ける機会が多く、問題となっております。
アパートの契約では、外国人というだけで門前払いとなるケースも多く、消費者金融ではやはり融資が受けられないなど、外国人というだけで経済活動すらままならないケースは少なくありません。

なぜ外国人は制約を受けるのか?
外国人が消費者金融などでは契約そのものが難しい場合がありまあすが、理由は住民登録をしていないケースが非常に多いからです。
消費者金融では債権保全の目的で、住民票の申請をする事が可能となっています。
しかし、外国人の場合、住民票を申請しても取得できない場合が多く、どうしても契約行為に対して不利な状況であるといえます。
こうした問題は複雑な要素が要因となっており、改善策は非常に厳しいものとなっています。
消費者金融の例を挙げましたので、ついでに説明すると、現在の消費者金融業界は貸金業法の改正による金利の引き下げや、過払い金返還請求等で非常に厳しい状況です。
あの武富士が倒産した事を思い出して頂ければすぐに理解して頂けるのではないでしょうか。
そのような状況で消費者金融が生き残るには、貸し倒れリスクを極限まで下げる必要があるのです。
このような理由で、結局外国人が差別を受けてしまっているのが実情です。
つまり、締め付けの厳しい貸金業法を緩和する方向で改正しなければ、この問題は解決できない問題なのです。
不動産契約にも同じ事が言えるでしょう。
弱いものを助ける為の法律が、食物連鎖のごとく巡り巡って、結局弱い立場の人間が損害を受ける。
そんな社会の仕組みが、外国人差別につながっているのではないでしょうか。

同和問題

同和問題は日本固有の人権問題として広く知られていますが、細かい内容まで知っている人は少ないのではないでしょうか?
特に若い人はほとんど知らないかもしれません。

「同和地区」とは、今から数百年も前(江戸時代と誤解されるケースが多いが、実際は平安時代とも奈良時代ともいわれている)、身分の低い者が特定の地域に追いやられ、特定の職業に就かされた事で「部落差別」と言われるものです。
江戸時代との誤認識が多いのは、当時の身分を意味する「士農工商・穢多(えた)・非人(ひにん)」で知られるように、差別化がハッキリと明文化されているからです。
この特定の部落出身者は、ただそれだけの理由で差別を受けてきた歴史があり、今現在でもなお続いている問題なのです。(大幅に減少はしています)
最も多く受けた差別として、婚約の破棄、就職の取り消しなどがあります。
1975年頃、全国の同和地区・被差別部落の所在地などを記した書籍が発行され、多くの企業がこぞって購入し、採否の材料とする事件が頻発しました。
後に書籍は回収され処分されましたが、同和地区の具体的な地名が出てこない理由は、こういった背景から人権を守る為なのです。
首都圏での旧同和地区は、その後区画整理・地名変更・住民の強制退去等により、完全に痕跡をなくしています。
したがって、同和地区問題に詳しい人でない限り、素人がインターネットなどで地域を割り出す事はまず不可能となっています。
それくらい、この問題は神経質にならざるをえない、大きな問題といえるでしょう。

主な部落差別絡みの事件

■狭山事件(1963年、埼玉県)
女子高生が殺害された事件で、部落の青年である石川一雄(いしかわ かずお)さんが犯人にでっちあげられた。
当時、何の根拠もなく、警察だけでなく、周囲からも部落在住というだけで疑いの目を向けられ、警察は別件逮捕をして無実の青年を犯人にしたてた。

■八鹿(ようか)高校事件(1974年11月22日、兵庫県)
部落解放同盟の同盟員が、学校の教職員60人を、13時間にわたり監禁・暴行した事件。
事の発端は、八鹿高校の部落出身女生徒が、交際相手の父親から部落出身を理由に交際を認めない旨の手紙を何通も出し、これが明るみに出ました。
同じ時期に同様の結婚差別事件が相次ぎ、部落解放同盟系統の部落解放研究会の設置を学校側に申請したが認められず、部落解放同盟はこうした事態を差別として痛烈に学校側に対して批判し、事件に至りました。

■飛鳥会事件(2006年5月8日、大阪)
部落解放同盟の支部長と財団法人飛鳥会理事長の肩書を持つ暴力団幹部の小西邦彦が、業務上横領と詐欺で逮捕された事件。
飛鳥会は元々は同和地区において浴場経営などをしていましたが、小西邦彦の権力を背景に、大阪市と癒着し、西中島駐車場の経営を独占的に委託されるなどしていました。
その後、小西邦彦は年間収益を過少申告し、差額(1億3千万円)を横領。
横領した1億3千万円を小西邦彦の個人名義の口座に移し替え、後に三菱東京UFJ銀行の幹部も逮捕される事態に発展。
大阪市も小西邦彦に屈する形で不正な資金提供をするなど、社会に与えた影響が大きい事件でした。
起訴された金額は1億3千万円ですが、実際に得た不正な利益は、数十億円とも言われています。